技術紹介

分析化学機器等に関する技術的サポートを目的とした記事のページです。

各メーカーが自社製品の紹介のみならず、新たな使用方法、より高精度な測定を目指す手順など、実践的な方法を紹介する報文を掲載しています。記事のタイトルをクリックすると別タブで記事PDFファイルが開きます。

 

目次

クロマトグラフィー関連

「(技術紹介)逆相クロマトグラフィーにおける100%水系移動相の使用時の問題点について」
(株式会社クロマニックテクノロジーズ) 〇長江 徳和,塚本 友康,小山 隆次

 逆相クロマトグラフィーでは,C18(ODS)カラムは保持時間が長く,耐久性が高く,さらに多くの応用例が発表されている事などから,多くのクロマトグラファーが使用しており,汎用性の高いカラムである。HPLCが開発された1969年から11年後の1980年には有機溶媒を含まない100%水系移動相ではC8カラムやC18カラムは保持の再現性が低く,時間の経過とともに保持が減少する事が発表され,有機溶媒濃度が10%以下の移動相は使用できないとの認識が広まった。1990年以降高極性化合物の分離分析の必要性が高まり,100%水系移動相でも保持の再現性が高い逆相カラムの開発が始まり,C18-AQなどの呼び名のカラムが利用可能になった。本稿では100%水系移動相での保持の低下の原因や対処方法について紹介する。・・・

キーワード:HPLC, Superficially porous particle(表面多孔性粒子),Van Deemter Plot

「シリカ系逆相カラムにおける残存シラノール基の影響および新規エンドキャッピング」
(株式会社クロマニックテクノロジーズ) 〇長江 徳和,塚本 友康,小山 隆次

 ロシア人植物科学者Tswettにより1903年にクロマトグラフィー(Chromatograph)が提唱1)された。これは炭酸カルシウムの粉末を充塡剤とし,石油エーテルを移動相として植物抽出液を分離したものであった。その後,固定相基材または固定相としてアルミナやシリカなどが提唱された。現在はポリマー系とシリカ系が主流であるが,逆相クロマトグラフィーにおいてはシリカ系充塡剤が多用されている。また液体クロマトグラフィー。・・・

キーワード:HPLC, Superficially porous particle(表面多孔性粒子),Van Deemter Plot

「コアシェルカラム:コアシェル充塡剤による高性能化」
(株式会社クロマニックテクノロジーズ) 〇長江 徳和,塚本 友康

 1969年にJ.J.Kirkland1)らが開発した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は分離分析の手法としては最も広く世界中に普及した。発表当時に使用されていたカラムには,直径30 μmから40 μmのガラスビーズなどの表面に0.5 μm程度の厚みの多孔質層が存在する粒子が充塡されていた。これは当時Pellicular(ペリキュラー)型充塡剤1)2)と呼ばれていた。・・・

キーワード:HPLC, Superficially porous particle(表面多孔性粒子),Van Deemter Plot

「LC 移動相汚染に対する新たなアプローチ 移動相クリーニング機能付き LC,LC/MS 用サクションフィルタの紹介」
(島津ジーエルシー) 〇宮嶋晃輔,山口 努,福澤興祐,佐藤友紀

 液体クロマトグラフィー(LC)及び液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)において,移動相に起因する問題に度々直面することがある.例えば,分析試料に由来しないピーク,いわゆる「ゴーストピーク」の出現が挙げられる.また,移動相汚染は以下に示す様々な要因によって生じ,装置汚染も引き起こす原因となる.・・・

キーワード:移動相汚染、ゴーストピーク、サクションフィルタ

「イオン分析への透析法の適用 インラインダイアリシス―イオンクロマトグラフィー」
(メトロームジャパン) 〇小林泰之,山本喬久

 イオンクロマトグラフィー (IC) は,水試料中の無機イオンの測定に広く利用されてきたが,近年は工業原料・材料,食品,生体等の中の無機イオンの定量にも使用されている。これらの試料中には,疎水性有機化合物,高分子化合物,タンパク質,脂質,界面活性剤,色素,重金属等の夾雑成分が高濃度に含まれている。これらの夾雑成分は,保持時間変動やピーク形状の変形等を引き起こし,ときにはカラム充填剤に吸着・蓄積してカラム性能を低下させてしまうこともある。従って,前処理により夾雑成分を事前に除去しなければならない。・・・

キーワード:イオンクロマトグラフィー,陰イオン,高分子,インライン前処理,透析,食品

「有機溶媒中微量陰イオンの定量  インラインマトリックス除去―イオンクロマトグラフィー
(メトロームジャパン(株))○小林 泰之,山本 喬

 イオンクロマトグラフィー(IC)は水試料中の無機イオンの定量法として広く利用されてきたが,近年は,工業原料・材料,食品,生体等の中の無機イオンの定量にも使用されている。特に,半導体製造等で使用される有機溶媒中の微量無機イオンの定量に対するニーズは高い。しかし,試料に含まれる高濃度マトリックスは保持時間変動やピーク形状変形などの妨害1)を引き起こし,ときにはカラム性能を低下させることもある。・・・

キーワード:イオンクロマトグラフィー、固相抽出法、インライン濃縮、マトリックス除去

 

分光関連

「ナノ赤外分光分析 AFM-IR」
(ブルカージャパン株式会社)○横川 雅俊

 赤外分光法(IR: Infrared Spectroscopy)は,材料の化学特性評価法として広く知られている分析手法である。しかしながら,その空間分解能は,光の波動性からくる回折限界のため,使用する光源・測定法により多少の違いこそあれ通常3〜10 μm程度に制限される。・・・

キーワード:原子間力顕微鏡,ナノ赤外分光分析,AFM-IR,Surface sensitive mode

「微弱発光測定法を用いた高感度分析 ~材料の微量酸化劣化を捉える ~ 」
(東北電子産業株式会社)○山田 理恵

 近年、SDGsの観点から環境負荷低減に寄与する新たな技術開発が大学、民間企業共に加速している。安定で高精度、高品質材料の開発、海洋プラスチック対策、リサイクル促進のための新技術が求められ、従来法より一段進んだ高感度分析手法が必要となっている。そこで本技術報告ではフォトン(光子)レベルの微弱発光測定法について述べる。・・・

キーワード:発光、微弱発光、ケミルミネッセンス、酸化、劣化

「電子スピン共鳴法の基礎と応用例 卓上型の装置でもここまでできる!」
(ブルカージャパン株式会社)○原 英之

 電子スピン共鳴 (ESR = Electron Spin Resonance)法とは,ラジカル(不対電子)を持つ試料に磁場中でマイクロ波放射し,マイクロ波とラジカルの間で起こる吸収共鳴の現象を示す。この現象は強磁性体においても観測されるが,ESRの多くの対象物が常磁性体であるため電子常磁性共鳴(EPR=Electron Paramagnetic Resonance)とも呼ばれる。不対電子を非破壊で直接観測する唯一の装置であるESRの最初の信号は1945年にロシアの科学者Zavoiskyによって観測された1)。・・・

キーワード:電子スピン、ラジカル、磁気共鳴、常磁性

「分光蛍光光度計による反射・蛍光画像分離と分光スペクトルの面内分布の推定」
(株式会社日立ハイテクサイエンス)○堀込 純,佐藤 いまり,鄭 銀強

 蛍光材料は、白色LEDや衣服の蛍光増白、有価証券偽造防止のためのセキュリティインクなど生活に密着した製品に応用されている。これら蛍光試料の分光特性は、一般的に分光蛍光光度計を用いて分光スペクトルを評価することが多い。分光スペクトルは、蛍光波長を固定して励起光(照射する光)の波長を走査することで励起波長における蛍光強度の関係を表す励起スペクトルと、励起波長を固定して、蛍光の波長を走査することで蛍光波長における蛍光強度の関係を表す蛍光スペクトルがある。・・・

キーワード:蛍光光度計、分光カメラ、分光画像、蛍光画像

「偏光ゼーマン原子吸光光度計を用いる食品添加物中の鉛の分析」
(株式会社日立ハイテクサイエンス)○坂元 秀之

 厚生労働省消費者庁より発行されている「食品添加物公定書」は食品衛生法第21条に基づき作成され成分規格や製造規格が定められており,平成30年2月に第9版として改訂された。第8版では純度試験の「重金属」は比色法を用いて分析がなされ,鉛相当濃度として試験が行われたが,今回の改定では「鉛」としての項目が掲げられ,新たにフレーム原子吸光分析が採用された食品添加物が多くあった。・・・

キーワード: 食品添加物、フレーム原子吸光分析、偏光ゼーマンバックグラウンド補正法、L-アスコルビン酸

「多目的FTーIR・ラマン分光光度計の開発と応用事例の紹介」
(日本分光株式会社)○田村 耕平

 赤外(infrared, IR)分光法やラマン(Raman)分光法に代表される振動分光法は,分子振動の情報を直接観測できるため,無機物から有機物にいたる様々な物質の構造解析には必要不可欠な分析手法である。これらの手法が活躍する分野は,医薬品・食品,高分子材料,有機・無機材料,半導体,犯罪捜査など多岐に渡り,汎用的な定性分析・定量分析のツールとして広く使用されている。・・・

キーワード:FT-IR、ラマン分光、ATR、レーザーラマン

「フーリエ変換赤外分光光度計プラスチック分析システム「Plastic Analyzer」による劣化プラスチックの分析」
(株式会社島津製作所)○藤 里砂

 大きさ数nm~5mmの微細なプラスチックをマイクロプラスチックと呼ぶ。近年,このマイクロプラスチックが沿岸及び海洋の生態系に悪影響を与え,ひいては人間の健康にも潜在的に影響を及ぼす可能性がある海洋環境問題として,世界的な課題となっている。日本では日本近海に加え,日本から南極に至る広範な海域においての分布調査や,マイクロプラスチックに吸着しているPCB(poly chlorinated biphenyl,ポリ塩化ビフェニル)等の有害化学物質の量を把握するための調査が実施されている。・・・

キーワード:FT-IR、マイクロプラスチック、プラスチック分析システム、紫外線劣化

質量分析関連

「微量分析における質量分析計の感度指標」
(アジレント・テクノロジー株式会社)○芹野 武

一般に,分析化学における微量分析では,検出限界(LOD)の確認が必要である。検出限界とは,物質がない状態のシステムノイズ(ブランク値)と物質がある状態のシグナルが区別できる物質の最低量のことを指す。液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)やガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)などのクロマトグラフと質量分析計を組み合わせたクロマトグラフ質量分析計システムは環境試料や食品試料中の微量に含まれる規制化合物の分析などに使用されている。そのような規制化合物の微量分析の分野では,質量分析計やクロマ
トグラフ,試料の前処理技術などが進化することで分析に適用される分野が拡張されたり,高感度化に伴い規制値の見直しが行われたりすることがある。・・・

キーワード:質量分析、MS/MS、SN比、装置検出下限(IDL)

 

熱分析関連

「試料観察熱分析による樹脂ガラス素材の黄変挙動の評価」
(株式会社日立ハイテクサイエンス)○大久保 信明

近年,自動車や鉄道車両の軽量化,破損の防止等を目的とし,無機ガラスの樹脂材料への代替が進められている。最近では一部の乗用車のサンルーフや,新型新幹線車両の客室の窓などに樹脂製のガラスが採用されている。樹脂ガラスは従来の無機ガラスに比べ,軽量であることや耐衝撃性に優れる等の長所がある一方,高コストであるとともに劣化しやすく材料寿命は無機ガラスより短い。・・・

キーワード:熱分析,熱重量測定,黄変

 

イメージング技術

「組織透明化サンプル用の3D 高速分子ラベリング技術」
(バイオリサーチセンター株式会社)○西尾 将人

今日に至るまで組織観察の手法は,顕微鏡性能の向上や,トランスジェニックのように遺伝子操作を用い特定の部位に蛍光タンパク質(GFP, RFP など)を導入する技術によって飛躍的に発展し,日増しに鮮明な組織内部のイメージを正確に捉えることが可能になっている。特に2 光子や多光子顕微鏡の登場は,今まで捉えることができなかった深部のイメージを局所的に映し出すツールとして汎用されている。しかし,従来の組織観察では,組織全体を立体的・多角的に捉えることが難しい。2 光子や多光子顕微鏡といえども組織の深さ1 mm程度しか光が届かないことから,これまでの組織観察では組織を薄くスライスし,各スライスの顕微鏡画像を重ね合わせて1 枚の立体的な画像を取得するのが一般的である。・・・

キーワード:組織透明化、電気泳動、eFLASH 法、SmartLabel

 

オンサイト分析

「簡易水質検査キットによる微量ヒ素のオンサイト比色定量」
(株式会社共立理化学研究所)○村居 景太

 地質由来のヒ素による地下水汚染が世界各地で問題になっている。特に,インドの西ベンガル地方やバングラデシュでは生活用の井戸水の汚染が広範囲に及んでおり,長期間の飲用による健康被害が懸念されている。日本においては,ヒ素の各種環境基準や水道水質基準として0.01 mg L-1,一律排水基準として0.1 mg L-1 が規定されているが,同様に地下水や土壌から基準値を超過するレベルのヒ素が検出される事例が数多く報告されており,水質管理や土壌汚染対策の対象となっている。このため,ヒ素の汚染レベルをオンサイトで迅速に判定可能な簡易分析技術の需要は大きい。・・・

キーワード:オンサイト分析、ヒ素、比色分析、水質検査キット、前濃縮

 

周辺技術

「環境DNA分析の「い・ろ・は」 サンプリングから分析・解析まで,実践のための技術」
(株式会社環境総合リサーチ)○玉田 貴, 芝田 直樹

環境DNA分析は遺伝子解析技術を利用して生物の分布・相対量の変化を推定することのできる生物調査手法である。水や空気などの環境媒体から遺伝物質を収集・分析することで情報を得る。・・・

キーワード:環境DNA, PCR, NGS,リアルタイムPCR, 次世代シーケンサー

「ナノインデンターを用いた機械的評価手法 ナノスケールの硬さ・弾性率・スクラッチ・DMA評価手法の紹介」
(ブルカージャパン株式会社)○二軒谷 亮

近年の各種デバイスの小型化に伴い、それに用いられる材料の特性評価手法も小型化してきている。材料の機械的特性の評価手法として、これまで引っ張り試験やビッカース硬さ試験などが汎用的に用いられてきたが、これらの手法ではナノ~マイクロスケールの小型化した材料を評価することが困難な場合が多い。そのため、薄膜・微小構造の機械的特性を評価可能な手法としてナノインデンテーション法をはじめとする様々な評価手法が開発されてきた。・・・

キーワード:ナノインデンテーション、ナノDMA、ナノスクラッチ、硬さ

「自動抽出装置を使った血漿、尿、糞便サンプルの胆汁酸39種類の迅速プロファイリング」
(株式会社島津製作所)○Aurore Jaffuel, 國澤 研大, 堀江 征司, 渡辺 淳

胆汁酸(BA)はコレステロール代謝に必須であり、小腸における脂肪の吸収に重要な役割を果たしてる。さらに、代謝を調節するシグナル分子としても働いている。肝臓でコレステロールの異化により産生され、タウリンまたはグリシンとの抱合により一次胆汁酸に合成される。一部の一次胆汁酸は、後に腸内細菌により修飾され、二次胆汁酸が産生される。・・・

キーワード:LC/MS/MS、胆汁酸、自動前処理

「超純水を高感度分析に用いる際の注意点 超純水装置の問題」
(ヴェオリア・ジェネッツ株式会社)○黒木 祥文

分析において「水」は最もよく使われる試薬であり溶媒である。高感度な機器分析には分析用水として非常に高純度な超純水が必要である。超純水の精製過程では、水中の不純物を除去するために多くの処理過程が施されている。一般的に超純水装置は水道水などを一次処理した蒸留水、逆浸透水などを原水として、活性炭、イオン交換樹脂およびフィルターの組み合わせによって精製が行われる。さらに微量有機物分析に対応するために185nm以下の短波長の紫外線の照射が可能なUVランプを採用している。このUV照射の効果により超純水中に残存する有機物濃度はTOC 1~3ppb程度にまで低減されている。・・・

キーワード:純水、微量分析、不純物、コンタミネーション、高感度化

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